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大北スパイラル!

清々しい朝。爽やかな風と澄んだ空気。
眩しい朝日に照らされながら、私は執務室で職務をこなしていた。

今日の秘書艦は北上。
彼女はとてもマイペースだが、良くやってくれている。
サボりたがるのが玉に瑕だが。

今も彼女は大あくびをしながらマンガを読んでいる。

「北上、マンガを読んでいないで仕事をしなさい」

「えー、今私やることないじゃん~」

ナチュラルに断られる。
しかしこれでめげていては提督は務まらない。

「そんなことはない、仕事は山ほどあるぞ」
「さぁ働く働く!」

「えー、もうしょうがないなぁ~」
「何をすればいいのー?」

やっと重い腰を上げたようだ。
よしよし、その勢いで仕事を……

ん?何か地鳴りのような音が聞こえるぞ?
そしてそれは段々と近づいてくる。

ドドドドド……

ガチャン
執務室のドアが大きく開かれる。

「北上さんっ!」

やってきたのは大井だ。
まぁ、予想通りなのだが。

「んぁー、どうしたの大井っちー?」

北上は動じない。
慣れているのだろうか。

「北上さん!私、今日、非番なの!」

「おー、休みかぁ、いいなー」

なぜ非番なのにここにいるのだろうか。

「大井、北上を誘っても無駄だぞ」
「彼女は今日秘書艦だ」

そう言うと、大井は私を睨みつけた。

「分かっています!提督は黙っていてください!」

「す、すまん……」

あまりの迫力につい謝ってしまった。

「そうだよ大井っちー、私は今日秘書艦だから一緒には遊べないよー」

「残念です北上さぁん!」
「でも私、北上さんと一緒にいる方法を考えたんです!」

絶対に良からぬことを考えている。

「私、北上さんの秘書艦になります!」

いったい何を言っているのだろうか。
もちろん秘書艦の秘書艦なんていう仕事は無い。

「えー、大井っち仕事手伝ってくれるのー?」

北上は嬉しそうだ。
堂々とサボれるからだろう。

「ちょっと待て大井、秘書艦の秘書艦なんていう仕事は無いぞ」

「提督は黙っていて下さい!!」

「はい……」

相変わらず大井は恐ろしい娘だ。
思わず迫力に負けてしまう。

「私が北上さんを手伝えば、仕事が早く終わると思うの!」
「それでね、早く終わらせて遊びに行きましょう!」

「おー、いいねー!その案採用~!」

北上、勝手に決めないでくれ。
まぁ、こうなったら何を言っても無駄だろう。
手伝ってくれる分には悪いことは無いし、好きなようにやらせよう。

「仕方が無い、では北上と大井で分担して任に当たってくれ」

「はい!もちろんです提督!」

そして彼女達は仕事に取り掛かる。

「提督、艦隊の再編成終わりました」

「おお、ありがとう大井」

「提督、演習指示出し終わりました」

「おお、ありがとう大井」

「提督、遠征部隊出発しました」

「おお、ありがとう大井」

……すごい勢いで仕事が片付いていく。
こう見えても大井はかなりデキる娘だ。
性格がちょっとアレな以外は完璧と言っても過言ではない。

そして北上はマンガを読みながら大爆笑している。
大井が北上をダメにしているのではなかろうか。

まぁ良い、二人で作業分担?した結果だろう。
仕事は問題無く片付いているし、彼女達がそれで良いなら何も言うまい。

「そろそろ昼か、北上、大井、何か食べに行くか?」

「それでしたら提督、私が作りましょうか?」

「お、大井っち作ってくれるのー?」
「嬉しいなー、大井っちの料理、美味しいんだよねー」

北上絶賛である。
確かに大井は料理が上手い。

「うむ、では大井、よろしく頼むぞ」

「わかりました、では私作ってきますね」
「北上さぁん!待ってて下さいねー!」

大井は高速でキッチンへと向かっていった。

「提督ー、仕事は片付いたのー?」

「ああ、だいぶ片付いたな」
「この分なら、夕方には全部片付くかもしれないな」

恐るべし大井。
普段からこれくらい仕事に情熱を注いでくれれば良いのだが。

「じゃあ私、休憩してるねー」

「おまえはマンガ読んでいただけだろうが」

「あれ、バレてたー?あははー」

北上は呑気なものだ。
まぁ、そこが彼女の良いところでもあるのだが。

「北上さぁん!お昼ごはん出来ましたぁ!」

しばらくすると大井が戻ってきた。
手にはお皿を二つ持っている。

「今日はオムライスです!」
「さぁ北上さぁん!一緒に食べましょおぉ!」

「じゃあ、いただきまーす」

二人でオムライスを食べ始める。

「あ、あの、大井さん?」
「私の分は無いのかい?」

「ありません」

なんということだ。
大井はそんなに私のことが嫌いなのだろうか。
かなり傷ついた……

「冗談ですよ、ちゃんと提督の分も用意してあります」

冗談までもがキツい娘だ。
しかしちょっと安心した。
大井が私の分の皿を持ってくる。

「提督、ケチャップで何か書いてあげましょうか?」

なに!?一体大井に何があったというのだ!?
私は怪訝な顔で大井を見つめた。

「提督、なんですかその顔は?」

「いや、なんでもない」
「ではLOVEと書いてく……」

「嫌です」
「ではHELLって書いてあげますね」

本当に書かれた。
しかも語尾にハートが付いているところがまた憎らしい。

だがオムライスは美味しかった。
洋食屋が開けるんじゃなかろうか。

「ごちそうさまー、大井っち美味しかったよ~」

「本当!?北上さんに喜んでもらえたらな、私満足です!」

「うむ、本当に美味しかったぞ」

「そうですか、ありがとうございます」

この反応の差である。
いつものこととはいえ、すこし傷つく。

「では残りの仕事を片付けて……」

「提督ー、デザート無いの?デザートー」

北上はデザートをご所望のようだ。
しかしそんな物は無い。

「無いぞ」

「じゃあ間宮行こうよー間宮ー」

「ダメだぞ、それよりも仕事を進めなさい」

「えー、間宮いこうよ~」

いつもなら「ちぇーっ」とか言ってすぐに諦めるのだが、今日は珍しく諦めが悪い。

「間宮に何かあるのか?」

察した私は疑問をぶつけてみる。
北上の顔が輝く。

「そう、今日は間宮の新作デザートの発売日なんだよ」

む、新作か。
私は甘いものが嫌いではない。
むしろ好きだ。

実は私は間宮によく一人で行っている。
しかしサングラスとマスクで完璧に変装しているので、私だとバレてはいないだろう。
甘いものが好きとバレれば、私の硬派なイメージが崩れてしまう。

だが、誘われて行くのはやぶさかではない。
彼女達をダシに、ではなく彼女達の願いを叶えるために間宮に行くのは仕方が無い。

「そうか、そんなに行きたいか」
「では3時になったらな」

「本当に!?やったぁー!」

はしゃぐ北上、微笑む大井。
二人共嬉しそうで何よりだ。

そして3時、間宮に向かう。
途中、阿武隈に出くわした。

「あ、阿武隈だー」
「おーい、阿武隈ー、何してるのー?」

「げっ!北上、さん……」
「いえ、買い物から帰るところです」

そう言って阿武隈はそそくさと去って行こうとする。
それを北上が遮る。

「阿武隈~、今から間宮に行くんだけど一緒に行かないー?」

阿武隈は難しい顔をしている。
彼女は北上が苦手なようだ。
しかし北上は意に介していない。

「いえ、今はお腹いっぱいなので……」

そう言うと阿武隈は逃げ去ろうとするが、またしても北上が遮る。
珍しく北上が悪い顔をしている。
これは阿武隈をからかうつもりに違いない。

「いいじゃん阿武隈~、一緒に行こうよー」

ニヤニヤしながら阿武隈に詰め寄る。
たじろぐ阿武隈。

「ねー、行こうよ~」

北上は阿武隈の前髪をいじりながらしつこく誘う。
阿武隈は頬を赤く染め俯いている。
傍から見ると満更でもなさそうだが、阿武隈はうんとは言わない。

「ま、前髪を触るのはやめてください……」
「髪型、崩れちゃいます……」

まるでいちゃついているカップルのようだ。

……何か隣からドス黒いオーラが漂ってくる。
その発生源はもちろん大井だ。
北上が阿武隈にご執心なことにご立腹らしい。

「私、やっぱり……だめですっ!」

阿武隈は北上を振りほどき走り去って行った。

「行っちゃったねー」
「仕方ないかー、それより早く間宮行こうー」

北上はひとしきり阿武隈をいじり倒したことで満足したようだ。

「そうよ北上さん、そんなことより間宮行きましょうよ!」

阿武隈が去ったことで大井の黒いオーラも消えていた。

間宮に辿り着く。
先客は、長門・陸奥、赤城・加賀、それにビスマルクとプリンツか。
甘いもの好きが揃っているな。

私達は席についた。

「提督いらっしゃいませ」
「いつもありがとうございますねー」

間宮は一体何を言っているのだろうか。
私はいつも一人で来てなどはいない。

「うむ、間宮、新作デザートを頼む」

「はーい、お待ちくださいね」

周りを見渡す。
長門と目が合う。
彼女は口元に笑みを浮かべる。
私も同じく口元に笑みを浮かべ返す。

長門はよく一人で間宮に来ている。
変なサングラスとマスクで変装しているが、バレバレである。
しかし彼女も私には気づいているようで、妙な仲間意識が芽生えている。

そんなことを考えていると、間宮がデザートを持ってきた。

「おー、きたきたー」

「北上さん!これすごく美味しそうですね!」

「うむ、味わって食べるのだぞ」

北上と大井は嬉しそうに食べ始めた。
言い出しっぺの北上はともかく、大井も甘いものは好きなのだろう。
北上を見ては微笑み、デザートを口に運んでは微笑んでいる。
そんな二人を見ているとこちらまで幸せな気分になってくるものだ。

「うむ、旨いな」

思わず感想が声に出る。

「でしょー、来て良かったねー」

「もちろんです北上さん!」
「あっ、ほっぺにクリームが」

大井が北上の頬に付いたクリームを拭き取る。

「大井っちくすぐったいよ~」

阿武隈の時もそうだったが、いちゃつくカップルにしか見えないな。
北上は女の子に好かれる素質でもあるのだろうか。
そんなほのぼのした光景を眺めつつ、デザートを完食する。

「よし、食べ終わったし帰るか」
「二人共満足したか?」

「うん、もうお腹いっぱいだよー」

「美味しかったです、ごちそうさまでした」

三人とも戦意高揚したようだ。

そして執務室へと帰ってきた。
よし、この勢いで仕事を終わらせてしまおう。

「さぁ、残りの仕事を片付けてしまうぞ!」

「やっぱり食べた後って眠くなるよねー」
「もう寝ちゃおっかー」

「そうですね北上さん!一緒に寝ましょう!」

目を輝かせる大井。
寝るという単語に興奮しているようだ。

「駄目にきまっているだろう」
「さぁ、食べた分しっかり働きなさい」

「はーい」

大井が恨みがましい視線を送ってくるが、無視して仕事を進める。
そして夕方には大体の仕事は片付いてしまった。

「ふー、仕事もだいぶ片付いたねー」

「そうですね!北上さんが頑張ったおかげです!」

せっせと働いていたのは大井のような気もするが。
まぁ、今回は北上もマンガを読まずに頑張ってくれた。

「さて、もう夕方だが、夕食はどこかに食べに行くか?」

「提督、夕食も私が作りましょうか?」

昼食に続き、夕食も大井が作ってくれるようだ。
本当に性格がアレなこと以外は完璧だ。

「大井っち何作ってくれるのー?」

「大井特性カレーです!北上さんっ!」

「やったー、カレーだー」

皆大好きカレーだ。
これは鎮守府での定番料理であり、艦娘なら大体作ることができる。
そして作る艦娘により十人十色の味が楽しめる、人気のメニューなのだ。

「うむ、カレーか、楽しみだな」

大井のカレーは独特な味がして美味しいと評判だ。

「……私の分もあるよな?」

昼のトラウマが蘇る。

「もちろんです提督、私を何だと思っているんですか?」

そう思われるようなことをしたのはおまえだろう。
と言いたいところをぐっとこらえる。

「いや、それなら良いんだ」
「楽しみにしているよ」

「もちろんです」
「北上さぁん!待っていて下さいねぇー!」

大井は高速でキッチンへと消えて行った。
そして暫く後に大井が戻ってきた。

「北上さぁん!カレー出来ましたぁ!」

「おー、待ちかねたよー」

「うむ、良い香りがするな」

食欲をそそられるスパイシーな香り。
空腹時にはたまらないものだ。

「ではさっそくいただこう」

三人揃ってカレーを食べ始める。

「大井っち美味しいよー」

「嬉しい北上さん!頑張った甲斐がありました!」

「うむ、本当に美味しいな」

「そうですか、良かったです」

やはりこの反応の差である。
分かってはいても少し傷つくな。

「でも何か変わった味がするよねー」
「隠し味でも入れたのー?」

「それは秘密です!」
「言ってしまったら隠し味になりませんから」

「ちぇーっ」
「でも美味しいからいっかー」

確かに何か不思議な味がする。
考えてみるが、今までに味わったことの無い味だ。

「ごちそうさまー」
「もうお腹いっぱいだよー」

「北上さん!いっぱい食べてくれたんですね!」

「うむ、私もお腹いっぱいだ」
「それにしても何か、体が熱くなってきたな」

スパイスの効果だろうか。
それにしては体が火照り過ぎているような気がするが。

「えー、私は全然なんとも無いよー?」

私だけだろうか。

「北上さん、体が温まってきませんか?」
「体に良いスパイスをいっぱい入れたんですよ!」

大井の頬は紅潮している。
まぁ、北上を見る時の大井は大体紅潮しているのだが。

「んー、全然なんとも無いかなー」

「おかしいわね、なんで効かないのかしら……」

とても不穏な台詞が聞こえた。

「大井、いったい何を入れたんだ……?」

「普通のスパイスですよ?普通の」

あやしすぎる。
絶対に何か盛ったに違いない。
現に私の体は体から湯気が出そうなほど熱く火照っている。
大井を見つめるが、視線を逸らされる。

「んー、なんで私だけ何とも無いんだろうねー?」
「まぁいっかー、気にしても仕方ないしー」

「うむ、そうだな」

確かに気にしたら負けだろう。
北上に効果が無いのはすでに耐性が付いているからか。
大井はいつも何かを盛っているのだろうか……

しかし体の火照りがおさまらない。

「私は少し夜風に当たって体を冷ましてくるよ」

「行ってらっしゃーい」

「提督!二時間くらい夜風に当たってきて下さいね!」

そんなに外にいたら風邪を引いてしまうではないか。
そして私は執務室から外へ出る。

「きったかっみさぁーん!」

ドスンと何かが倒れる音がする。

「な、何!?大井っち!?」

「私も体が火照ってしまったのおぉ!」

「わかった、わかったから大井っち!」
「さ、横になって、良い子にして、ね?」

「あぁ、北上さん……優しくして下さいね……」

何か聞いてはいけない会話が聞こえた気がする。
これは本当にしばらく戻らない方が良さそうだ。
そして私は外へ出て、玄関前でしばらく涼むことにした。

しばらく涼んでいると阿武隈がやってきた。

「む、阿武隈、こんな所で何をしているんだ?」

「提督」
「北上、さんに、司令部からの伝言がありまして」

かなりタイミングが悪い。

「そうか、北上は執務室にいるが、今は入らない方が良いぞ?」

「でも、仕事、ですから」

そう言うと阿武隈は中へと消えていった。
修羅場の予感しかしない。
仕方ない、私も戻るか……

執務室に戻ると、案の定言い争う声が聞こえた。

「ちょっと!私と北上さんの邪魔をするなんて!」

「北上さんに伝言を届けるのが仕事ですから」

「そんなの後にすればいいじゃない!」

「おー、阿武隈ー、私に用事なのー?」

「はい、北上、さん……」

「ちょっと!今は私と北上さんで楽しんでいるのよ!」

うむ、予想通りの修羅場だ。
知らぬふりを決め込みたいところだが、そうも言ってはいられまい。
覚悟して執務室へ入って行く。

「おいおい、何をしているんだ」
「ここは執務室だぞ」

「提督は黙っていて下さい!」

「はい……」
「ではなくて、とりあえず落ち着きなさい」

ここで大井に負けてはいけない。
この自体を収めるのも提督の仕事の内である。

「大井、まずは冷静になるのだ」

「そうだよ大井っちー、落ち着いてー」

「北上さんがそう言うなら……」

一瞬で大人しくなる大井。
さすが北上が言うと効果は抜群だ。

「それで阿武隈は私に用なのー?」

「そうです、司令部からの伝言が……」

「そっかー、阿武隈から会いに来てくれるなんて嬉しいなー」

にじり寄る北上。
後ずさる阿武隈。
どこかで見たような光景だ。

「あ、あの、北上、さん……」
「近い、です……」

壁際に追い詰められる阿武隈。
更に接近する北上。

「えー?なにー?」
「阿武隈の髪型可愛いねー」

阿武隈を壁に押し付け、前髪を弄ぶ。
阿武隈は頬を赤く染め俯いたままだ。

「ねー阿武隈ー、せっかく来たんだからお茶でもしていきなよー」

積極的に誘う北上。
これはかなり珍しい光景だ。

「わ、わかりましたから……」
「だから、前髪は触らないで、お願い……」

「阿武隈は可愛いなー」

北上はとても楽しそうだ。
阿武隈はとても恥ずかしそうだ。
大井は……鬼の形相で佇んでいる。

「大井っちー、皆でお茶にしようよー」

北上に呼ばれて我に我に返る大井。

「あ、はいっ!み・ん・な・で!お茶にしましょう!」
「私、美味しい紅茶入れてきますね!」

北上と阿武隈、二人だけの空間を作るよりは皆でお茶をした方が良いと判断したのだろう。
そしてキッチンからティーセットとクッキーを持ってくる。

「ところで阿武隈ー、伝言って何ー?」

「あの、次の演習で重雷装艦の艦隊を相手にという話が……」

「私達が相手になればいいんだねー」
「大井っち頑張ろうねー」

「え?私もですか?」

「重雷装艦なんだから二人一緒だよー」

「北上さんっ!私、頑張ります!」

鬼の形相はどこへやら。
二人でと言われ、舞い上がる大井。
北上の一言で一喜一憂、天国と地獄を往復しているようだ。
ここまでくると逆に感心する。

「あの、私そろそろ帰りますね」

「おー、もう時間も遅いし送って行くよー」

またしても北上の爆弾発言だ。
そして鬼の形相へと舞い戻る大井。

「えっ!?あ、あの、私一人で帰れますから……」

「駄目だよー、女の子が夜一人で出歩くなんてー」

「でも帰りは北上さんが一人になってしまうじゃないですか……」

「私は重雷装艦だから大丈夫さー」

たしかに夜北上を襲う輩なんていないだろう。
そんなことをすればたとえ戦艦であろうと一瞬で海の藻屑だ。
そもそも鎮守府に他人を襲う輩はいないのだが。

「じゃあ大井っちー、私は少し出てくるから後は任せたねー」

「あ、はい……北上さん……」

北上は阿武隈と部屋を出て行く。
大井のテンションは地を這っている。

……もしかして、北上はサボりたいだけなのではないか。
まぁ、いない間に残りの仕事を片付けてしまおう。

「お、大井さん……?」

恐る恐る話しかける。

「なんですか提督」

「あの、残りの仕事を片付けてしまいたいのですが」

「そうですね、では仕事を進めましょうか」

あれ?以外と普通だ。
北上に後は任せると言われた以上、そうしなければならないという使命感があるのだろうか。
淡々と仕事を進めていく大井。
……なんだか可愛そうになってきた。

「あの、大井さん?」

「なんでしょう提督」

「なんで北上のことがそんなに好きなんだ?」

平素からの疑問をぶつけてみる。

「もちろん、北上さんは私の全てだからです」

「そうか、野暮なことを聞いたな」

聞くまでも無いことではあるが、大井にとって北上は特別なのだろう。

「北上さんは私にとても優しいんです」
「もちろん皆に優しいんですけど」
「それに北上さんはとても落ち着いていて」
「一緒にいるとすごく癒やされるんです」
「それでいてとってもチャーミングなんです」
「遊び心があるというか」
「それにとっても可愛いじゃないですか」
「もし艦娘コンテストがあったら優勝間違い無しです」
「それに北上さんは……」

この後ひたすら北上さんの素晴らしさを説かれたのである。

「そ、そうか」
「北上の良さは十分理解した」
「たしかに北上は素晴らしいな」

サボり癖さえ無ければ。
などと口に出しては言えないが。
そうこうしているうちに北上が帰ってきた。

「ただいまー」

「おかえりなさい北上さん!」
「私、北上さんがいなくてとっても寂しかったです!」

「よしよし、大井っちは寂しがり屋さんだねー」

「はい!私、北上さんがいないとダメなんですぅ!」

こっちはこっちでラブラブだな。
北上、罪なやつだ。

「仕事も片付いたし、そろそろ終わりにするか」

「賛成ー」
「私そろそろ眠いよー」

と期待させておいて。

「そう言いたいところだが」
「北上、今日は寝ずの番だぞ」

「えー、私できっかなー、無理っぽくないー?」

「北上さんっ!私も一緒に起きてますっ!」

「大丈夫だよ大井っちー、私一人で出来るからー」

「いえ!私なら大丈夫ですから!むしろ起きていたいです!」

「大井っちがそう言うなら、一緒に起きてよっかー」

「はいっ!もちろんですっ!」

……

こうして嵐のような一日は過ぎ去った。
北上と大井の仲の良さは十分に伝わった。
彼女達は常に同じ時を過ごしていくのだろう。
今までも、そしてこれからも。

「あー、今日も阿武隈は可愛かったなー」

「き、北上さぁ~ん」

北上、やはり罪なやつだ……

- Fin -


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[ 2015/04/15 21:00 ] 艦これショートストーリー 短編 | TB(-) | CM(0)

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