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がんばれ!足柄さん!4

清々しい朝、空には雲ひとつ無い青空が広がり、太陽も眩しく輝いている。
そんな爽やかな日差しの中、私は執務室で職務をこなしていた。

今日の秘書艦は足柄。
彼女はとても良くやってくれている。
が、今日も彼女はとても浮かない顔をしていた。

「ふぅ……」

彼女の唇から溜め息が漏れる。

「どうした足柄、またいつものやつか?」

私は毎度の如く気落ちしている彼女に問いかけた。
やはり男性から人気が無いがコンプレックスになっているようだ。
そもそも人気はあるのだが、何故気付かないのだろうか。

「はい、いつものやつです……」

足柄は暗い表情でうつむく。
が、何処か雰囲気が何処かいつもと違う気がする。
気のせいだろうか。

「足柄よ、そんなに気にしても仕方が無いぞ」
「人気とは作るものではない、生まれるものだ」

「そうなのですが、気になってしまうのは仕方が無いですよね?ね?」

やはりいつもと違う雰囲気を感じる。
落ち込んではいるようだが、作られたかのような違和感がある。

「まぁ仕方が無いが、何かで気を紛らすしかないだろう」

「そうですよね!」
「それで私、考えたんです!」

もはや嫌な予感しかしないが、提督としては逃げ出す訳にはいかない。

「そ、そうか、いったい何を考えたんだ?」

「もちろん、人気のある駆逐艦について、です!」

あれ、駆逐艦って言い切ったぞ。

「そうか、ところで何で駆逐艦なんだ?」

ストレートに疑問をぶつけてみる。

「それはもちろん、人気があるからです!」

ニヤニヤしながら彼女はそう答えた。
あからさまに怪しい。
これは良からぬ事を考えているに違いない。

「そ、そうか……」
「で、今回は誰の研究をしたんだ?」

今回は普通の、そう、吹雪みたいな普通の娘を選んで欲しいものだ。

「時津風ちゃんです!」

駄目だ!これは確実にダメなやつだ!
足柄に時津風のキャラはどう考えても似合わない。
そんなことはさすがの彼女も分かっているはずだ。
しかもすごくニヤニヤしている。
これは確信犯に違いない。

「そ、そうか……」

「はい!時津風ちゃんなら元気があって人気もあって」
「それでいて小動物のような可愛さがあって」
「これならイケる!って思ったんです!」

彼女はすごく嬉しそうに宣言した。
たしかに間違ってはいないが、問題はそれを演じるのが足柄ということだ。
絵面として、かなり面白いものになるということは明らかである。

「そ、そうか、やはり演じてみるのか?」

ダメ元で聞いてみる。

「もちろんです!」
「時津風ちゃんをマスターして、人気者になります!」

やる気だ。
彼女はやる気に満ち溢れている。
ここでやっぱりやめないか?などとは言えない。

「そ、そうか……」
「うむ、それも良いかもしれないな」

そう答えると、足柄の表情はまた何かを企んでいるようなニヤニヤ笑顔に染まる。
私が駄目だと言わないことを見越しているのだろう。

それにもちろん、本気で演じている彼女を笑うなどということは出来ない。
それがたとえ仕組まれたものであったとしても。
だからこそ、どんな演技であろうと冷静を保たなくてはならない。
提督たる者、艦娘を傷つけてはならないのだ。

絶対にそれを分かって言っているに違いない。
くそう、この策士が……

しかし、私は彼女にそんな仕返しをされるような事をした覚えは無い。
ただのいたずらだろうか?
それにしては捨て身戦法すぎる。

「うーむ……」

思わず悩みが声に出る。

「どうしたんですか提督?」

「いや、何でも無いさ」

危ない、気付かれるところだった。

しかし、本当に何なのだろうか。
電ちゃんの真似を笑いそうになったことに気付かれたか?
島風のコスプレを笑った事を根に持っているのか?
それとも妙高の説教から一人逃げたことだろうか?
それくらいしか思い付かない。

「じゃあ提督、さっそくやってみますね!」

私は思考を中断するしか無かった。
彼女の演技を全力で受け止めなければならない。
そう、全力で、笑わないように……

……

「しれぇー!」

ふふっ……
これはどう考えても面白い構図だ。
足柄は容赦なく初撃で私の頬筋を崩しにかかる。

「どうした足柄?」

しかしこれくらいでやられる私ではない。
まだまだ耐えられる余裕は十分にある。

「しれぇー、今日は何するのー?」

足柄は無邪気に問いかける。
声だけ聞けば無邪気で微笑ましいのだが。

「そうだな、まずは艦隊の再編成からだな」
「そして艦隊を遠征へ出そう」

「はーい、しれぇー!」
「誰と誰をどこの隊に入れるのー?」

非常に不可思議な光景だが、任務はつつが無く遂行していく。
その辺りはキッチリしているらしい。

「うむ、遠征指示も終わったようだな」

気づけば昼近くになっていた。

「しれぇー!お腹すいたー!」
「間宮に行こうよ、間宮ー!」

「そうだな」

さすがに外に出れば時津風の真似はしていられまい。
私は一時の安息を得られると確信した。

しかし、私の考えは甘かった。

間宮。
お昼時なだけに、混んでいる。

「しれぇー!何食べるのー?」

やめてくれ足柄、皆が見ている。
しかし足柄はお構い無しだ。
これを狙ったのだろうか。

「ねぇー!しれぇーってばぁー!」

わかった!わかったから静かにしてくれ!
周囲の視線が突き刺さる。

「そ、そうだな、やはり昼はカレーだな」

「足柄もカレー食べる食べる♪」

「よ、よし、好きなだけ食べるといい」

カレーを注文する。
カレーならすでに作られているはずだから出てくるのも早いだろう。
それに食べるのも早いはずだ。
素早く食べて帰れば傷は浅くて済む。

しばらくして間宮がカレーを持ってくる。
……とても渋い表情をしながら。

「はい、カレーおまたせしましたー」

「うむ、間宮、ありがとう」

「やったー!しれぇー、カレーだー!」

間宮の笑顔が引きつる。
そしてそそくさと早足で去っていった。

「足柄、そんなにはしゃぐでない」
「料理は静かにゆっくり食べるものだぞ」

「はーい、しれぇー」

もぐもぐ……
さすがに食べている間は静かだ。
そして私は彼女より先に食べ終えなければならない。
それは喋る隙を与えないためだ。

カレーを二人ほぼ同時に食べ終える。
かなり急いで食べたはずなのだが……
足柄め、同じことを考えていたな。

「よし、食べ終わったし出よ……」

「しれぇー!デザート食べたーい!」

私が喋り終える間も無く、足柄は大声でデザートをねだる。
やめてくれ、本当にやめてくれ……
まるで公開処刑だ。

「わかった、わかったから落ち着け」
「よし、この超弩級パフェ間宮スペシャルを頼もう」

私は迷いなく一番でかくて豪華なメニューを提案した。
これなら嫌とは言わないだろう。

「食べる食べるー!」

異論は無いようだ。

「ではこれを一つ頼も……」

「しれぇー!しれーは食べないのー?」
「足柄の分はあげないからねー!」

「わかったわかった、では二つ頼む」

勢いで二つも頼んでしまったが、食べきれるのか?
明らかに戦艦や正規空母用のサイズではないか……?

間宮がパフェを持ってくる。
一人では二人分を持ちきれないのか、伊良湖も手伝っている。
そして二人ともかなり渋い表情をしている。

「やったー!しれぇー、パフェだー!」

「わかった、わかったから静かに食べなさい」

でかい。これはでかい。
まるで間宮サイズのでかさだ。
どこが、とは言わないが。
食べきれるか不安になってきた。

足柄を見ると、またしても悪い笑みを浮かべている。
彼女は重巡洋艦である。
このサイズなら食べきれない、ということは無いだろう。

しまった!図ったな!
なんとしても食べきって、ヤツをフリーにさせないようにしなければ。

もぐもぐ……
くっ、カレーの後に超弩級サイズのパフェはキツイ。
足柄を見ると、余裕の表情だ。

「足柄、美味しいか?」

「おいしい!」

「そうか、よーく味わって食べるんだぞ!」

少しでも時間を稼ぐ作戦だ。
……彼女の食べる速度は変わらないが。

もぐもぐ……
おかしい、全然減らない。
むしろ増えている気さえしてくる。
一方足柄は、着実にその量を減らしている。

「足柄よ、私の分も食べていいのだぞ?」

「大丈夫!ちゃんと自分の分だけ食べる!」

こういう時だけは良い子だ。
そして足柄は食べ終えた。

「しれぇー!まだー?」

「そう焦るな、大人しく待っていなさい」

「はーい」

とりあえずは静かにしていてくれるようだ。
その隙に私はパフェを全力で平らげにかかる。

これは……キツい……
胃袋も限界へ達している。
しかし貴重な食糧を無駄にする訳にはいかない。

「しれぇー!まだー?」

パフェを一口食べる度、私の顔色は青ざめる。
私の顔色が青ざめる度、足柄の笑顔は輝いていく。
いったい私が何をしたというのだ……

「しれぇー!」

「しれぇー!」

「しれぇー!」

鳴り響くしれぇーコールを聞きながら、私はパフェを食べきった。
ついに成し遂げたのだ。

「よし、帰ろうか……」

満身創痍である。

そして執務室へと戻ってきた。
私はソファーに倒れこむ。

「足柄、すまない、私はしばらく動けそうにない」
「出撃指示を出しておいてくれないか」

「はーい」

足柄は無邪気に返事をすると、テキパキと仕事を進める。
彼女はとても有能な秘書艦だ。
有能なのだが、なぁ……。

しばらくするとお腹もこなれてきた。
足柄を見ると、机の引き出しを開け、ガサゴソと何かを探している。

「足柄、何か見つからない物でもあるのか?」

「しれぇー、こんなもの見つけたよー」

そ、それは……!
足柄が手にしているのは、私秘蔵の書だった。
決して女性に見つかってはならないやつである。

「足柄!それは極秘資料だ!」

足柄から秘蔵書を奪い取る。

「えー、そんな風には見えなかったよー?」
「だって女の人がー」

「いや!これは極秘資料だ!」

私は必死で抵抗する。
足柄は満面の笑みでにじり寄る。

「しれぇー!私に隠し事とか良くない、良くないなぁー!」

足柄は一歩、また一歩とにじり寄る。

「ま、まぁ、落ち着きたまえ」
「とにかくこれは極秘資……」

その時、足柄が飛びかかってきた。
二人はもつれ合い、床へと倒れこむ。

「足柄、やめないか……!」

私が混乱している間に、秘蔵書が奪い取られる。
足柄は私に馬乗りになる。
マウントポジションだ。

「しれぇー、この女の人、なんで裸なのー?」

足柄は開いた本を指さし、笑顔で問いかける。
くそっ、完全に私を追い詰めにかかってきている。
獲物を狩る狼のように。

「それは、そう、それは人の肉体を研究するためにだな……」

「この女の人、髪ながーい!スタイル良いー!」

その本に載っている女性は、栗色の長い髪が背中にかかっている。
そして凹凸がくっきりした見事なスタイルだ。

「まるで私みたーい!」

はっはっは。
おかしなことを言うやつだ。
髪型といいスタイルといいそっくりではあるのだが。

「しれーはこーゆー人が好みなのー?」

もちろんだ。
しかしそんな事を言えるはずはない。

「まぁ、それなりに、だな」

言葉を濁す。
確かにロングヘアーにロケット胸部装甲はストライクなのだが。

「そうなんだー、私みたいな人が好みなんだー」

足柄の笑顔は最高潮に達している。
まるで好きな子をいじめている時のような、そんな意地悪な笑顔。

「べ、別にそういう訳では」

否定してみるが、状況は好転しない。
足柄は更に私に近寄り、秘蔵書を突きつける。

「隠し事は良くない、良くないなぁー」

もう勘弁して下さい。
この状況を打開する方法は私には浮かばない。
力づくで跳ねのけようとしても腕力では全く叶わない。
しかし、ここで折れてしまっては提督としての威厳が……

「しれぇー、私なら……いいよ?」

足柄は意味深な言葉を放ち、体を密着させる。
そして、私の心はボキッと音を建てて真っ二つに折れたのである。

「悪かった、私が悪かった」
「だからもう許してくれ……」

私は懇願した。
足柄は何かを勝ち取ったような笑みを浮かべた。
そして真剣な眼差しへと変わる。

「提督」
「私、本気だったんですよ?」
「真剣に悩んでいたのに……提督は笑いましたよね?」

やはり笑いそうになったことがバレていたのか……

「そんなことはない!」
「私は真剣に受け止めて……」

もちろん、真剣に受け止めてきた。
それは間違いの無い事実だ。
しかし、思わず笑いそうになったのも事実だ。

「それに私にあんな格好までさせて……」
「笑われたうえに辱めまで受けるなんて……」
「私、すごくショックだったんですよ?」

足柄は少し悲しげな眼差しで私を見つめる。
そんな顔をさせてしまう事を私はしてしまったのだと後悔した。
私は足柄の心を踏みにじってしまったのだろうか。
自責の念に駆られる。

「悪かった、別に悪意があったわけじゃないんだ……」
「足柄が、その……面白かったから、つい……」

笑いをこらえてはいたが、表情に出ていたのだろう。
それに面白そうだという理由できわどいコスプレをさせてしまった。

「本当にすまなかった!」

もう隠し通せる事ではない。
私は本心を打ち明けて謝った。
そんな私を見て、足柄の頬が緩む。

「仕方ないですね」
「そこまで言うのなら許してあげましょう」

なんとか許しを得る事ができた。
提督としての立場は保たれたのである。
艦娘を傷つけるような事があってはならない。
私はその言葉をもう一度噛みしめた。

「あ、ありがとう!足柄!」

それを聞いた足柄は穏やかな微笑みを浮かべた。
どうやら彼女の機嫌は直ったらしい。
そしてまたニヤニヤ笑顔へと戻る。

「ところで、提督は私のことが好きなんですか?」

いつも秘書艦にしているという事はどういう事か。
察しているからこその問いかけだろう。

「足柄~、もう勘弁してくれ~」

「うふふ、ダメですよ♪」
「答えを聞くまで逃がしませんから♪」

……

こうして彼女の機嫌は直り、平和を取り戻した。
この平和を乱さないようにしなければと提督は誓った。
そして提督と足柄は日常へと帰っていったのである。

- Fin -


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[ 2015/04/22 21:00 ] 艦これショートストーリー 短編 | TB(-) | CM(0)

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