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提督と電の昔話

それは遠い遠い昔のことだった。
まだ横須賀と呉と佐世保の3つの鎮守府しかなかった頃のこと。

とある鎮守府に一人の提督がいた。
彼は横須賀鎮守府に着任していた。
新米だったが、とてもやる気にあふれており、精力的に出撃し練度を高めていた。

ところが……

……

「くっ、こんなんじゃ駄目だ!」

提督は1-4の壁に阻まれていた。
何度チャレンジしても越えられない。

「はわわわ!司令官さん、落ち着くのです」

提督は焦り、電は慌てていた。

「しかし……」
「やはり駄目だ、攻略も進まないし練度も上がらない!」

着任してから、しばらくはスムーズに攻略できた。
しかしそれは初めだけだった。

それ以降、攻略は遅々として進まず、練度も上がらない。
1-3以降、何の戦果も得られていないのだ。
こんなことでは提督としての使命が果たせない。

「焦ってはいけないのです、ゆっくりやればいいのです」

電の言う通りだ。
落ち着くべきだった。

「しかし、やはりこのままではいけない!」

提督は真剣に考え込む。

「司令官さん……」

心配する電。

「……」

そして、提督は何かを決意したような表情を浮かべた。

「電、あの方法を使おう」

焦りは思考回路を鈍らせる。
そして間違った決断を下させる。

「……!」
「あの、司令官さん、それは……!」

「しかしこれしかもう方法は残っていないんだ!」

「……わかりました」
「電は大丈夫なのです」

「すまないな電、耐えてくれ」

提督は禁断の方法に手を染めてしまったのだ。
あの、忌まわしき大破進撃レベリングに……

そして電は出撃して行った。
一人で。

「まだまだ、行けるのです」
「沈まなければ……なんてことはないのです」

「電……」

電は健気に頑張った。
大破しても入渠せず、何度も何度も出撃した。
そして練度は上がった。

「司令官さん!電、強くなったのです!」
「これで1-4も楽勝なのです!」

「うむ、よし!1-4に出撃だ!」

練度を高めた電率いる艦隊は無事1-4を攻略した。

「やったのです!電の勝利なのです!」

「やったぞ!初めての大きな戦果だ!」
「電のおかげだ、ありがとう!」

「そんなことはないのです、司令官さんの指揮のおかげなのです」
「まだ先は長いのです、まだまだ頑張るのです!」

そう、まだ先は長かった。
1-4を越えた先には2-4が待っている。

勢いに乗った提督は、そのまま2-4へと挑んだ。
しかし、大敗を喫してしまったのだ。

「なぜだ……」
「あんなに練度を上げたのに……」

「司令官さん、大丈夫なのです」
「練度が足りなければ、もっと上げればいいのです」

「し、しかしそれでは電が……」

「大丈夫なのです」
「ちょっと鍛えてくるのです」

そう言って電は一人出撃して行った。
大破しても入渠することなく何度も何度も。
ボロボロになりながらも電はくじけなかった。

「電……大丈夫なのか……?」

「大丈夫なのです、練度もかなり上がったのです」
「これで2-4もクリア間違いないのです!」

電はそう言って微笑んだ。

何度も砲撃を受け、艤装は焼け焦げ、体はすすまみれ。
それでも練度を上げ続けた電は確実に成長していた。

そして2-4へと出撃していった。

結果は快勝。

ついに序盤の壁を突破したのだ。

「司令官さん!やったのです!」
「頑張った……電、頑張ったのです!」

「やったな!電のおかげだ!」
「よし、今夜はパーティーだ!」

二人は小さな祝勝会を開いた。
おいしい食べ物を食べ、あまいジュースを飲み。
幸せな時間は続いていった。

この幸せがいつまでも続くと思っていた。

今日までは……

……

「司令官さん!大ニュースなのです!」

大声をあげながら電が執務室へと飛び込んできた。

「む、どうしたんだ電?」

「近々、大きな作戦が発令されるのです!」

「なんだって!?」
「これはチャンスだ!電の実力を見せつける良い機会じゃないか!」

電にはとても辛い思いをさせてしまった。
ここで活躍して戦果と勝利を与えなければならない。

「そんな大げさなのです」
「でも、ちょっとだけ自信はあるのです」

「よし、さっそく大本営に出撃許可を取ろう!」

提督は大本営へと電信を打った。
もちろん出撃許可が下りると思っていた。

「……」
「司令官さん……」

電はとても暗い顔をしていた。

「どうした電?」
「恐くなったか?はっはっは」

電は悲しそうに、言葉を続けた。

「出撃許可が、下りなかったのです」

「なっ、それは本当か!?」

「本当、なのです……」

「なぜだ、あんなに頑張ったのに!」
「大本営はなぜ認めてくれないのだ!」

バンッ!
両手を机に叩きつける。
提督は怒りに震えていた。

「勝率の低い艦隊は出撃を認めない、とあるのです……」

「なっ……!」

そう、出撃が許されなかった原因はあの大破進撃にあったのだ。
心も体も勝率も犠牲にして練度を上げた。
そこまでして鍛えたのに、そのせいで作戦に参加できなくなってしまった。

「いやまだ、今から勝率を上げれば!」

必要な勝率は76%以上。
現状の勝率は25%。
絶望的だった。

「司令官……間に合わないのです」

「……」
「そう、だよな……」
「いったい何のために頑張ってきたというのだ!!」

提督は叫んだ。

「仕方ないのです……」
「今回の作戦は諦めるしかないのです」
「その次があるのです!それまでに勝率を上げて……」

「駄目なんだ」
「それじゃ遅いんだよ!」

期間限定の作戦。
戦果を上げればそれに見合った報奨が与えられる。
そう、ここでしか手に入らないものが。

しかし、この作戦を逃せばそれを手に入れることはできない。
そして、その事実が提督に襲いかかる。
提督の心はきしみ始めた。

「もう二度と同じ作戦は発令されないんだよ!」
「もう、二度と……」

なぜあんな決断を下したのか。
なぜ大破進撃してまで練度を上げてしまったのか。
間違った決断を下してしまった事への後悔と怒りが提督を押しつぶす。
そして提督の心は壊れてしまった。

「ははは……」

提督の口から乾いた笑いがこぼれる。

「司令官さん……」

「もういい」
「もう、終わりにしよう」

そう言うと提督は電の前から消えていった。

電「司令官さん……ごめんなさい……」
電「電が、電がもっと強ければ……」

電の目から涙がこぼれる。

そして電の世界は歪み始める。
空間がきしみ、ノイズがかかり、徐々に壊れていく。

電「たとえ作戦に参加できなくても、電は、電は……」
電「司令官さんと一緒にいられればそれだけで……」
電「しあわ……

そして世界は暗転した。

……

提督は正気を失っていた。
怒りに任せて艦隊を凍結した。
電との日々は消えてしまった。

もうあの笑顔を見ることはできない。
もう二度と微笑んでくれることはない。

提督は激しく後悔した。

電はあんなに頑張ってくれたのに。
電はあんなに優しくしてくれたのに。

それをいともたやすく消してしまったのだ。
そして後悔の念に押しつぶされた提督の心は閉ざされた。

そして数ヶ月後……

部屋の片隅でうずくまっていると、どこからともなく声が聞こえてきた。

司令官……司令官さん……
会いたい……会いたいのです……

「電っ!?」

司令官さん……
電は……待っているの……です……

「どこだ!どこにいるんだっ!?」

部屋を見渡したが誰もいない。

もう鎮守府は満員。
提督には戻れない、そう思っていた。

しかし、新しい泊地が解放されていたのだ。

提督は決意した。
また電に会いに行こうと。
捨ててしまったあの日々を取り戻そうと。

そして彼はまた提督として舞い戻ってきた。
無事に着任することができたのだ。
もちろん、初期艦は電。

「電……」
「すまない、本当にすまなかった……」

提督は誠心誠意謝った。
謝って許されることでもないことは承知していた。

「はわわわ!謝らないで欲しいのです」
「今日はお祝いをする日なのです!」

「しかし、私が電を捨てて……」

「それ以上言ったら怒るのです!」
「そう思うのなら、電を幸せにするのです」

電は怒らなかった。
提督を迎え入れてくれた。

「そう、だな!」
「もう、二度と離さないからな!」

「約束、なのです!」

そう言うと電は優しく微笑んだ。
いつものように。

- Fin -


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[ 2015/06/13 21:00 ] 艦これショートストーリー 短編 | TB(-) | CM(2)

やばい……めっちゃ感動しちゃいました。これは実体験でしょうか? 熱意溢れる提督が持ち前のガッツで猛進し、そこに存在する壁の必然性、挫折……そして復活、再会。根っからの創作家(笑)である俺のハートに何かとても凄いエネルギーを注がれました。この記事を意識した、実体験をもとにした半フィクションの「五提督誕生秘話」という記事をこれから作りたくなりました。色々とありがとうございます!

私も初期秘書が電ちゃんだったのですよぉ
[ 2015/06/13 21:32 ] [ 編集 ]

>花兜 さん
これは半分実体験です。
私の初期アカは横須賀鎮守府でした。
当時流行っていた大破進撃でレベリングをしていたのです。
そして初めてのイベントで……参加できず!
絶望して引退したのです。
その体験を脚色して完成したのがこのSSです。

自分の書いたもので影響を与えられるのはとても嬉しいことですね!
五提督誕生秘話、期待しています!
[ 2015/06/13 22:29 ] [ 編集 ]

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